中国の上海出身のアーティスト Maleonn こと 马良（馬良：マー・リャン）さんのハンドメイド・パペット・プロジェクト『Papa’s Time Machine』（爸爸的時光機／爸爸的时光机）です。
Maleonn さんが芸術監督を努め、人形のデザインや制作、振り付け、脚本なども手掛けた等身大の人形演劇です。

スチームパンクな手作りの人形や大掛かりな舞台装置がすごいです。
プロジェクターで映像を投影するなどインスタレーションアートなどで使われる技術も使用しているそうです。

舞台は70分です。
主人公の馬古幾（马古几：マークージー）は天才科学者で、彼の父親がアルツハイマー病になり記憶が低下し苦しんでいるのを助けたいと、幸せな思い出を復元し保存することが出来るタイムマシーンを作ります。
父親との思い出の中で馬古幾自身も親からの愛情や自分の人生を再認識していき、人生や記憶、そして別れについて誠実なメッセージが詰まった感動的なお話しのようです。

実際 Maleonn さんの父親がアルツハイマー病になり、徐々に悪化していく父親と接している中でこの作品の基盤が生まれ、父親への贈り物として作られたそうです。

人形を動かしている操り師の方達もスチームパンクスタイルな黒子衣装で、人形を操るというより人形とシンクロして台詞も言いながら演技をされているそうです。また音楽もライブ演奏で、スチームパンクの衣装で楽器を演奏されています。

主な人形は、幼少期と大人になった馬古幾、若い時と高齢の父親の4体あり、大人の人形は1252ものパーツで構成されているそうです。
Maleonn さんとプロジェクトチームで制作し、人形劇では最先端の技術を用いた独自のシステムで様々な基本的な動きに加え、ある程度複雑な動きも出来るそうです。

舞台装置や小道具もスチームパンクテイストで細密に作られています。

Maleonn さんは上海大学美術学院を卒業した後、大手広告代理店に勤務していましたが、2004年から独立し上海のスタジオを拠点に最初は写真家としてアーティスト活動を開始されたそうです。
両親は有名な劇場監督と女優だったそうで、子供の頃から舞台の勉強や子役をしていて両親は舞台関係に進む事を望みましたが、別の道を歩んで来たそうです。
今回のプロジェクトは舞台をやること自体も父への贈り物となったようです。

[via: neocha.com ]

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こちらはトレーラーです。

本編全編の動画はさすがに見つかりませんでしたが、中国の動画サイトの优酷で、制作風景などのメイキング的な内容、実際の舞台の一部分などが見られる動画を見つけました。

※このページ内に動画を埋め込んであり、画面を触ると再生されますのでご注意下さい。また読み込みに時間がかかる場合、最初にCMや広告が入る場合があります。（あまりにも長く表示されない場合はこのページをリロードしてみてください）

こちらは2016年5月に上海大寧劇院で公演された舞台の6分半のダイジェスト版です。
トレーラーや下の2015年の動画より舞台装置が大掛かりになっているようなので、さらに制作されているのだと思います。
またこの公演の時はテレビのニュースなどでも取り上げられ、中国では話題となっていたようです。

こちらは制作風景と2015年10月の公演のダイジェスト版です。スキンヘッドの方が Maleonn さんです。途中観劇に来たお父さんも登場してます。

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最初 Maleonn さんの写真を使ったアート作品を見かけて調べていたところ、立体造形のインスタレーションなどもされていて、現在はこの舞台に取り組んでいることがわかりました。
2012年には車を改造して移動スタジオにし、衣装や小道具持参で中国各地をまわり、中国SNSのウェイボーで現地でモデルとなる人を呼びかけて撮影する「Studio Mobile」というプロジェクトを行なっていたようです。

現在はウェイボーで情報発信をされているようで、ホームページもあまり更新されていないようですが、過去の作品がいろいろ見れますよ。

Maleonn さんのサイトです。
▶︎ www.maleonn.com

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動画は載せませんが、チェコの自動車メーカーのシュコダの中国のCMで、人形の制作風景が使われていました。他にも人形や舞台装置を使ったミュージックビデオなどもありました。

中国は昨年「第13次五カ年計画」（2016-2020年）が可決されいろいろな面で話題になっていましたが、その中のクリエイティブな分野で、映画・テレビメディア、演劇、芸術産業の発展に力を入れる目標を掲げ、中国企業が米ドリームワークスなどと合併し上海に複合文化商業施設「夢中心」を建設中だそうです。そして新たにこの地区に劇場などの施設も増やし、ブロードウェイのようにレギュラー公演を行なう計画があるそうです。その中で「Papa’s Time Machine」も候補に上がっているようです。